変分法を用いる立場を

1. 性質から定義を復元する問題を解く道具
　→ その１，その２へ

2. 微分法を一般化した概念
　（特に不変問題へ無限小変換を用いるために）
　→ その３，その４へ

の2つに分けて検討しました。

その１

最速降下性からサイクロイドの定義へ

ここでは，第6回ワセツルセミナーでサイクロイドの式を求めた時とは別の座標系を採用しています。

ベルトラミの公式

$f=f(x,y,y^\prime)$ $\left(y=y(x),"{}^\prime"\text{は }x\text{ での微分}\right)$ とするとき， \[ f_x=0, \left(f_{y^\prime}\right)^\prime=f_y,\Longrightarrow f-y^\prime\,f_{y^\prime} = C\ (C: \text{定数}) \] が成り立ちます。

証明は合成関数の微分公式とE-L方程式によります。まず，合成関数 $f=f(x,y,y^\prime)$ を $x$ で微分し，仮定の式を用いますと \begin{align} \frac{df}{dx}&=\frac{\partial f}{\partial x}\,\frac{dx}{dx}+\frac{\partial f}{\partial y}\,\frac{dy}{dx}+\frac{\partial f}{\partial y^\prime}\,\frac{dy^\prime}{dx}\\ f^\prime&=f_x+y^\prime\,f_y+y^{\prime\prime}\,f_{y^\prime}\\ &=y^\prime\,(f_{y^\prime})^\prime+y^{\prime\prime}\,f_{y^\prime}\\ \therefore&\ (f-y^\prime\,f_{y^\prime})^\prime=0\\ \therefore&\ f-y^\prime\,f_{y^\prime}=C\ (C: \text{定数}). \end{align} よって題意は示されました。$\blacksquare$

ベルトラミの公式による求解

力学的エネルギー保存則より \begin{align} \frac{1}{2}m\cdot 0^2+mg\cdot 0&=\frac{1}{2}mv^2+mg(-y)\\ v&=\frac{ds}{dt}=\sqrt{2gy} \end{align} よって所要時間 $T$ は \[ T=\int_{x_0}^{x_1}\frac{\sqrt{1+(y^\prime)^2}}{\sqrt{2gy}}\,dx \] と表せます。そこで関数 $L$ を \[ L(x,y,y^\prime)=\frac{\sqrt{1+(y^\prime)^2}}{\sqrt{y}} \] と置きます。ベルトラミの公式より， \begin{align} \frac{\sqrt{1+(y^\prime)^2}}{\sqrt{y}}-\frac{(y^\prime)^2}{\sqrt{y}\,\sqrt{1+(y^\prime)^2}}&=C_1\ (C_1: \text{定数})\\ \end{align} $y^\prime>0$ より，$u=1-2C_1^2y$ とおいて， \begin{align} \frac{dy}{dx}&=\,\pm\sqrt{\frac{1+(1-2C_1^2y)}{1-(1-2C_1^2y)}}=\pm\sqrt{\frac{1+u}{1-u}}\\ x&=\int \frac{dx}{dy}\frac{dy}{du}\,du\\ &=-\frac{1}{2C_1^2}\int\frac{1-u}{\sqrt{1-u^2}}\,du\\ &= \end{align} 加筆中です。

等時降下性からサイクロイドの定義へ

加筆中です

その２

変分法を用いると解ける問題として懸垂線の導出問題があります。

懸垂性からカテナリーの定義へ

2点 $(a,b),(-a,b)$ を端点として固定した線密度 $\rho$ の糸が張力と重力が釣り合った時の糸の形状を考えます。全エネルギー $E$ は位置エネルギー \begin{align} E&=\int_{t_0}^{t_1}\rho\sqrt{\dot x^2+\dot y^2}gy\,dt\\ &=\int_{x_0}^{x_1}\rho gy\sqrt{1+(y^\prime)^2}\,dx \end{align} のみであり，これを最小にするような曲線の形状 $y=y(x)$ を求めればよいということです。そこで関数 $L$ を \[ L(x,y,y^\prime)=y\sqrt{1+(y^\prime)^2} \] とおきます．

E-L公式を用いた求解

\begin{align} \frac{d}{dx}L_{y^\prime}&=L_{y}\\ \frac{d}{dx}\left\{\frac{yy^\prime}{\sqrt{1+(y^\prime)^2}}\right\}&=\sqrt{1+(y^\prime)^2}\\ \left\{(y^\prime)^2+yy^{\prime\prime}\right\}\left\{1+(y^\prime)^2\right\}-yy^{\prime\prime}(y^\prime)^2&=\left\{1+(y^\prime)^2\right\}^2\\ \left(\frac{y^\prime}{y}\right)^\prime&=\frac{1}{y^2}\\ \text{加筆中です。}&\\ \frac{y^\prime}{y}&=-\frac{1}{y}+C_1\ (C_1:\text{定数})\\ \frac{dy}{dx}&=C_1y^2-1\\ &= \end{align}

ベルトラミの公式を用いた求解

$L_x=0$ であるからベルトラミの公式 $L-y^\prime\,L_{y^\prime}=C$ が使えます。 \begin{align} L-y^\prime\,L_{y^\prime}&=y\sqrt{1+(y^\prime)^2}-\frac{y(y^\prime)^2}{\sqrt{1+(y^\prime)^2}}\\ &=\frac{y}{\sqrt{1+(y^\prime)^2}}=C_1\ \left(C_1: \text{定数}\right) \end{align} なので $C_1\neq 0$ に注意して， \begin{align} \frac{dy}{dx}&=\pm\sqrt{\left(\frac{y}{C_1}\right)^2-1}\\ \int dx&=\pm\int \frac{dy}{\sqrt{\left(y/C_1\right)^2-1}}\\ x&=\pm C_1\text{Arccosh}\left(y/C_1\right)+C_2\ \left(C_2: \text{定数}\right)\\ y&=C_1\left\{e^{(x-C_2)/C_1}+e^{-(x-C_2)/C_1}\right\}\,/\,2 \end{align} ここで，対称性より $y^\prime(0)=0$ から \begin{align} y^\prime(0)&=\left(e^{-C_2/C_1}-e^{C_2/C_1}\right)\,/\,2\\ \therefore C_2&=0. \end{align} 以上より，懸垂線(Catenary) \begin{align} y&=a\,\text{cosh}(x/a)\\ &=\frac{a\left(e^{\,x/a}+e^{-x/a}\right)}{2}\ \left(a: 0\text{でない定数}\right) \end{align} が得られました。

その３

変分法の数学的証明

加筆中です

その４

不変問題への無限小変換の適用

\begin{align} &\ f(x_1+k,y_1+\ell,x_2+k,y_2+\ell)\\ =&f(x_1,y_1,x_2,y_2)\in{\mathbb R}[x_1,y_1,x_2,y_2] \end{align} \begin{align} k\left(f_{x_1}+f_{x_2}\right)+\ell\left(f_{y_1}+f1{y_2}\right)&=0\\ & \end{align} 不変量などの定義や議論の概観は第8回ワセツルセミナーにてご覧になれます。

2019.05

2019年5月25日(土) 第7回ワセツルセミナー

2019年5月18日(土) 第6回ワセツルセミナー

2019年5月17(金) 数学ゼミ

2019年5月25日(土)　第7回ワセツルセミナー

2019年5月18日(土)　第6回ワセツルセミナー

2019年5月17(金)　数学ゼミ